「食っていける」オーケストラを目指すにあたって何が必要なのか、何を大切にすべきか、メンバーともよく話します。その内容をさらっとご共有。
◆新しいことに挑戦し続ける◆
前回の
「なぜ自分達のコンテンツを選んでもらえるか」という「動機付け」において「新しい」ということはとても都合が良い。
という流れから、今回は表題の件について考えてみたいと思います。
この「新しいことに挑戦し続ける」。
すごくわかりやすく前向きな言葉で、ほとんどの人が大事なことだと言うと思います。
実際、歴史上の諸先輩方の名言中でダントツに多いのが「挑戦」と言うキーワードですし、
自分も大事だと思ってました。
が、
認識が甘かった。
大事の数千倍大事。超大事。
特に音楽事業家にとっては大事なんて言うぬるい言葉で片付けられないほど大事なこと。さらに自分達がそれをいかに実現できていなかったかということにも気づきました。
現代人は膨大な量のコンテンツに囲まれて生きています。
その量はあまりにも多く、流れは超速の激流。普通に認識したり自然に手に取ることは不可能です。
そんな中でも「食っていく」ためには自分達のコンテンツを認識し、望み、手に取ってもらわなければいけません。
その「動機付け」をどう行うか、
ある大企業は広告に莫大な人やお金をかけて、提供したいコンテンツそのものやそれに繋がる情報を蔓延させ、どこを見ていてもその人の目にそれが映るように、何を聞いていてもその人の耳にそれが聞こえるように、コンテンツを差し出します。
好み関心等はもちろんあると思いますが提供の仕方としてはとても強力です。
強引な言い方ではありますが、「売ったものが売れたもの。ヒットさせた曲がヒット曲。」です。もちろんそこまでして売り出すわけですからそのものの質が悪いわけがありませんし、そのコンテンツをよりよく輝かせてみせる工夫もしっかり施されています。
前回述べたように「ならではのコンテンツ」を作り、独占的にやっていくやり方もあると思います。
提供の方法にも様々な工夫があります。
そういった様々な「動機付け」の中でも「新しい」という要素はとても単純で、投じる資金や労力、時間、そのもののクオリティ云々とは違った次元で魅力を初めから提示できるため、自分たちのコンテンツを抜きん出て認識させるために非常に都合が良いのです。
「飽き」に対する効果的な武器でもありますし、
もちろん最終的に手に取ってもらうには受取手に望まれる必要がありますからただただ新しいことをやればいいというわけではないのですが、、、
とここで、
「新しいことに挑戦し続ける」という表題で、あまりそれについて分量がないのも如何なものか、とも思い、メリット、デメリットやら、新しさが求められる状況だとか、色々考えてみたのですが、
結果、
「人が新しいものを求めるのに理由はなく、是も非もなく、ただ今までそうして来たし、これからもそうする」
つまり
「なぜ新しいものを求めていく必要があるか」の問いに答えはない。しかし「人は常に新しいものを求めている」
というところに至りました。
常に先を、常に新しいものを、より良いものを、と求めていくのは根本的な願望というか、おそらく進化の遺伝子の一部で、もともと持っている先天的なところに起因したものだから否定のしようがない、、、と
すごく雑ではありますが、色々メンバー同士で問答を繰り返しても、コンテンツの良し悪しや好みに関する問いに対する答えの理由が、最終的に「飽きた」や「斬新、新鮮」などシンプルなところ以外にたどり着かなかったのです。
ただこの「新しい」、
我々オーケストラが普段扱うことの多い「クラシック」というジャンルに置いては非常に取り回しにくく苦労しています。
それを説明するためにはまずクラシックが一体なんなのかについてもう一度深く考え直す必要があるのですが、、、、
というわけで次回は◆クラシックというジャンルとは◆についてお話ししていきたいと思います。